伊豆半島最南端ー神子元島釣行未遂Ⅲ ドリーマー取締役の暗躍

ハンドルを握りながら、転職したのでもはやどうでもいいことなのだが考えるのだ。あの会社は社長が変わったタイミングで業績の急降下を始めた。既存の事業が軒並みマイナスになっている。プラスになった事業は皆無だ。銀行や株主がいればクビだろう。だが社長職は筆頭株主というルールがあり責任を追及できない。

 いったい全体なんでこうダメ企業になってしまったのだろう。パワハラ社長曰く、こういう状況になったのはネットの影響のせいだなどと外部要因を持ち出してくる。だったらネットやれば良かったじゃん?と普通は思うはずだが、続けて口からでてくるのは、ネットでは儲からないからダメだ、などと言う。じゃあどうするの?そこで思考停止してしまうのだ。一方でネット企業はライバル企業でもないなどと強がりを抜かす。思考回路は矛盾だらけだ。

 下降の原因ははっきりしている。もう10年以上も前から既存事業だけでは厳しいとわかっていたはずなのに、新たな柱となる新規事業が作れなかったことだ。そのアイデアと実行力がない。もっともパワハラ社長は仕事ができないわけでわない。ただし実績といえば一発屋みたいなことを何度も繰り返してきただけなのだ。中長期的に会社を成長させる仕組みづくりはまったく出来なかった。

 パワハラ社長がこれまでやってきた仕事をドリーマー取締役が引き継いでいた。この2人、それぞれキャラクターは異なるように見えたが、ドリーマーの方も密室ではパワハラを駆使していた。ドリーマーの方は取り繕う能力と影に日向に権謀術数を駆使する陰湿なやり手である。そしてパワハラの方も理想主義者の要素があって彼ら2人意見は共に一致していた。間違った意思決定でも共振してしまうと後戻りできなくなるのである。

 その特徴がよく現れていたのが人材採用だった。それまでこの会社は男女で役割が分かれていた。外を回る人間は男、事務的な作業は女性というようなありきたりなものだった。それがパワハラ社長もドリーマー取締役の2人とも、これからは女性の時代とか抜かしたことを言い出し、立て続けに女性を4、5人採用したのだった。それでマネジメントできるなら、まだいい。だがパワハラもドリーマーもそれまで女性をマネジメントしたことがない。そもそも学生時代女性にモテたタイプでもなさそうな2人だ。邪な理想を描いていたことだろう。

 当の女性も事務職や専門職ならまだいいのだが、一人で外勤するようなところに放り込まれるとどうなるか。女性だから話はうまいのだ。そして自己主張は強い。なんでも気になることは攻撃的になる。社内中チェーンメールまでしてギャーギャー騒ぐ。で一旦立場が悪くなるとすぐに泣く。こうなるとマネジメント能力のない上役は、社内で問題になるからと体面を異常に気にする。結果、無理があるのに女の意見を通してしまうのである。

 情報の透明化がなされておらず密室でかたを着ける。明らかにおかしいのである。ただそのキタガイ攻撃女子、といっても四十路だがーそのキタガイな特性を政治に利用する輩もいるのである。それがドリーマー取締役である。そういうのを見て、ああもう自分の地位が安泰ならこの先もうどうでもいいんだな。そう考えるより他なかった。責任を他人に押し付けるのはパワハラも然り、ドリーマーはとりわけ天才と評価できる。

幸いにもこの職場から抜けることができ、新しい職場を見渡すとパワハラ社長もドリーマー取締役もキタガイ攻撃女子も見当たらない。それは完全に業務を見える化してあるからだ。企業活動は不活発で人材が離れていき、社内政治だけはやけに活発な小組織。そんなものは消えていくだけだ。日本から人が減ってかつてのような輝かしい業界に戻ることは決してなく、企業として社会的役割はまだ少しは残っているが死に体だ。パワハラのアル中脳とドリーマーの脳内モルヒネに付き合わされている社員らが不憫である。でもま、どうでもいいわ。

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