55%オフ36Kでも食指が伸びなかったダイワ制覇エアマスターAGS グレ競技スペシャルⅣなど苦戦が続く先調子ロッドたち

冬場は磯釣りのオンシーズンながら風が強く、希望のタイミングで釣りへ行けないことがある。こういう日出かける先は釣具店であり買う目的がなければそれ即ち偵察である。

12月半ばからセールがスタート

 2022年12月下旬に訪れた大規模A店。ここは年末年始のセールは行わない。そもそも値段を安くはしないが時期によらず品目限定で半額とかにすることはある。この日はダイワ制覇エアマスターが1号50だけ55%オフとなっていた。本数は2本限定とのことだった。

 制覇エアマスターは一度08を購入したことがあるが即放流しているので使ってはない。ただし今まで幾度も気に掛かっていた竿だ。安くなれば別の号数を買おうと思っていた。しかも今回はかなりの値引率である。さてどうしようか。

 それから1週間が経った。気になっていたのでA店へ電話したらまだ同じ金額で在庫2本ともある、という。そこで買うぞ!という強いマインドを持って店へ向かった。

ダイワ 制覇エアマスターの微妙な立ち位置

 どうせA店で制覇を買うのだからと、この店の前に別の店、B店へ立ち寄ったのだ。予定より早く家をでたので少し時間に余裕があったからだ。そういう時にセレンディピティがある。なんとその店はすでに例年正月にやっているセールを年内から始めていた。店員に話を聞くと、セールを年始だけでやると密になるから分散化しているのだという。

 B店は決して大規模店ではないが、私が好きなジャンルの餌釣りには強い。この店の面白いところは、スポット的なセール品に加えて、今のタイミングだけだが店頭正規価格の商品も全品15%オフであるところ。値引きが厳しいがまかつ竿も同様の扱いである。

 例えば「がま磯マスターモデル尾長」が10万円を切る値段となる。当方の場合マスター尾長は要する金額の割に想定使用エリアである離島へ行く頻度が少ないので選択肢にない。マスターモデルはもちろんがま磯ファンとして一本は持っておきたいが、「がま磯マスターモデル口太」を使っているから、尾長竿は他の製品でいいという気持ちである。現保有の対尾長ロッドは「16トーナメントISO2号53」と、宇崎日新「ゼロサム磯尾長X4 TYPE1」、がまかつ「がま磯我夢者3-53」だけで新製品は何一つ持っていない。

 B店では釣研のウキだけを店頭価格の15%引きで購入し、渋滞の中A店へと向かった。

制覇エアマスターAGS

 A店では店員の説明通り制覇エアマスターはしっかり在庫2本、55%オフで鎮座していた。さっそく竿を伸ばしてみた。うん、悪くない。振ってみた。はい、悪くない。

 でも何かが違う。セール価格3万5000円台ということでこれと同価格帯のロッドよりも品質が高いことはわかる。頭ではわかっている。でも直感で拒否している。なんだか小さくまとまっている感じがして、とてもつまらないのだ。良いものであることは見て触れて伝わってくるのだが、この値段ならコスパがいいなという感じしかない。

 竿を持ってもワクワクしない。そのため所有欲も湧かなかった。もし買ってもぞんざいな扱いしかしなくなるかもしれず、そうなったら竿や他にこの竿を買いたかったユーザーに対して申し訳ない気持ちになった。そこでわざわざ片道28キロも掛けてきたのだが商品をそっと棚に戻したのだった。

苦境に立たされる先調子ロッド

コスパコスパいうならば、エアエボリューションのほうが割引率は小さいがこちらは2万円台である。だったらこっちにするかなぁ、みたいな気持ちになってしまうのである。制覇エアマスター、どうもがま磯でいうところのファルシオンのような、小さくまとまった良品であることによる埋没感が強く感じられてしまうのである。

 せっかく高級食材を用意していいシェフが料理をしたのにも関わらず、意外性がない事。加えて商品のセールスポイントと価格設定も併せて失敗してしまったような感じがする。

 制覇はピンシャンの先調子ロッドが10数年の時を経て復活〜ということだったが残念ながら失敗に終わった。ただそれはダイワに限らず他社も同じかもしれない。そもそも先調子はどこもラインナップは貧弱でありしかもたいして売れていないのが現実だ。

 がまかつ「グレ競技スペシャル4」については発売当初はそれなりに引き合いもあったが発売2年目にはすぐに失速してしまった。そもそもこの竿、釣具店員からはあまり評価されていないのである。今はどこの店へ行ってもグレ競技の在庫は豊富で号数長さは選び放題である。

先調子ロッドの復権に向けての考察

 今や磯竿は胴調子ブームだ。この流れはもはや20年近く前となるが、「がま磯アテンダー」の爆発的ヒットから始まったものだ。いまやがまかつは胴からさらに手元に入る本調子ロッド「スーパープレシード」までリリースした。ダイワは実質フラッグシップモデルのトーナメントすら胴調子となってしまい、ユーザーの側も「細糸でじわじわ浮かせる」磯竿神話に取り憑かれている。もはや時代の趨勢なのだろう。

 先調子ロッドの本当の意味での復活は、ハリスが細くても切られず、粘りがあるという先調子の特性と相反するような製品が登場するまで待つしかないのかもしれない。

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