福井県漁業調整規則で禁止されている遊漁者のまき餌釣りが、12月1日から解禁される見通しとなった。現状で禁止しているのは3都県のみで、福井県内でも黙認状態となっている。禁止の理由となっていたまき餌の成分が今は含まれていないことから、県は実態に合わせて規制緩和する。
県内の漁協組合長や有識者らでつくる福井海区漁業調整委員会が14日、福井市の県水産会館で開かれ、規則の改正を承認した。水産庁の認可などを経て正式に決まる。 委員会事務局の県水産課によると、県内でのまき餌釣りは1964年の規則制定時から禁止され、罰則も定められている。当時のまき餌には水に溶けない赤土が使われており、環境に悪影響を及ぼす恐れがあったことが理由だった。
現在は環境を悪化させない成分が主流になり、まき餌釣りが広く普及。県内の一部の海岸には禁止を知らせる看板があるが、広く周知していないのが現状。県は「規則が実態とかけ離れてしまった」として解禁を決めた。 全国的にも解禁する自治体が増えており、禁止しているのは福井、東京、茨城の3都県のみ。水産庁は2002年、各自治体に規制緩和を検討するよう通知し、福井県も協議を始めたが、一部漁協の反対で改正に至っていなかった。 一方で、県内での禁止を知らずにまき餌釣りをする遊漁者は多く、釣具店には関連商品がずらりと並ぶ。 まき餌を数十種類扱う釣具店の店長は「業界に携わって40年以上になるが、禁止は知らなかった」と驚く。「かつて赤土が問題になったことはあったが、今は赤土が混ざったものはない。まき餌はよく売れている」と説明する。海釣り歴50年という坂井市の愛好家も「まき餌釣りはみんなやっている。取り締まりや周知もなく規則を知らなかった」と話した。 12月のまき餌解禁後も、県は一部エリアで規制を継続する方針で、養殖や海藻、貝の採取に影響がないよう配慮する。 【まき餌釣り】釣り餌を海にまいたり、釣り糸につないだかごに詰めて海中に散布したりして魚を集める方法。フカセ釣りやサビキ釣り、団子釣りなどが含まれる。
福井新聞社