アテンダーⅢに関する発表が23年8月21日に行われました。今回は現時点で確認できる情報を元に記者の感想や考えを含めて記事を構成しています。
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アテンダーⅢ マスターモデルと被る性能と価格帯
がまかつがやっとアテンダーⅢを発表した。私は最近がまかつサイトを日々チェックしてなかったのだが、サイト「磯伝説けろっぴ」のアクセス数が昨日21日から爆上げしてると自動通知がきてたので、まさかと思いがまかつサイトをチェックしたら、しっかり発表されてました。
つまり発表は8月20日日曜日の深夜ー21日月曜日早朝にかけての時間帯だったのだと思う。
思えば小生は23年秋の新商品としてアテンダーの新商品が「アテンダーⅢ」の名で世に出ると、昨年11月にこのブログでいち早く報じたところ、かなり大きな反響をいただき、日本国内のみならず台湾、香港や韓国、中国本土からのものも含めて、これまで数万のアクセスがあった。ついにお披露目ということでとても感慨深い気持ちでいっぱいである。
当ブログをきっかけに比較的早いタイミングでⅢの情報が流布されたこともあり、この6月以降、がまかつとしても以前のマスターモデルⅡ発売のときとは異なる、情報小出し戦術を展開している。
アテンダーⅢのポジショニングマップ
そのためアテンダーⅢのおおまかな特徴は散々これまでも書けているので、ここでは21日までに発表された機能や詳細な素材、価格やサイドストーリーについて触れたい。まずその前にポジションマップの確認からである。
アテンダーⅢとアテンダーⅡのポジショニングマップを比較すると、プロットされた位置はほぼ同じ。マスターモデルⅡ尾長と口太の間、ということになる。尾長の粘りと口太の操作性を併せ持つ、といえばいいのか。
ただその一方でアテンダーⅡとマスターⅡ口太との違いについては、両者を併用していた人間からするとキャラが大きく異なる。果たしてアテンダーⅢはどうなるのだろうか? モデル展開と価格は??
やっぱり10万 どころか12万超え!の価格帯 開けてビックリ⁉︎マスターモデルの便乗値上げ
アテンダーⅢの展開は125.15.175の三種類。まずは需要が一番高い号数からのローンチで、いずれ0.6〜1号あたりの細号数、2号、2.25号、2.5号、2.75号といった太号数が出るんだろうが、問題は金額である。
見た時これ、マスターモデルⅡと同じ金額帯じゃね?アテンダー高くね?と思ったら敬虔な諸君はまだまだ甘い。シマノとダイワという2大ジャイアンに潰されず生き残ってきた、関西商人の商魂を侮ってはならないのだ。
なんとアテンダーⅢの発表直前(23年8月17日付)に、がまかつは価格改訂を公表してるのである。
参考までに値上げ前の価格(2018年カタログ)を乗せておく。
つまり、マスターⅡの定価を二万円近く引き上げている。この値上げにより、値上げ前のマスターⅡの価格帯にアテンダーⅢを捩じ込んだという図式が浮かぶ。
アテンダーⅢのキャッチフレーズは「己を越えろ!」(2017年発売のマスターモデルⅡは「覚醒」というキャッチだった←「剤」がついてなくてよかった)ということで、もしかしたら裏の意味で、己の予算を越えろ!と訴えかけているのかもしれない。
そんなこんなで無理やりマスターⅡよりも下の価格帯ながらスーパープレシードよりも上の価格とした。マスターⅡを値上げする前ならばスーパープレシードとの価格差があまりなく、値付けをどうするのか。私は去年の段階で、アテンダーⅢの価格予想を10万前後〜11万としていたのだが。今思えば苦しい予想だった。しかしマスターを値上げするという、こんな露骨な手法を取るとはね‥
それでも(だから)アテンダーⅢをオススメする理由
結論、マスターⅡ尾長は14万円くらい、市場販売が12万円台。アテンダーⅢは定価12万円台であるから10万円ちょっと手に入れることが可能となりそうだ。
とはいえこれまでのがま磯ロッドにはない新しい機能やリニューアル素材がこのアテンダーに付加されているので、いまからがま磯の高級モデルを買う人ならば、この期に及んで訳のわからん値上げに踏み切ったマスターⅡではなく、こちらのアテンダーⅢをお勧めする。
年末&24年年始セールはスーパープレシード狙い
アテンダーに届かない予算の人は同じようなポジショニングかつ先細設計で操作性が似てそうなスーパープレシード、ということになるだろう。
アテンダーⅢが予約でどれだけ出るかだが、手を出す人が増えるのはやはり磯竿の在庫が大きく動く年末年始となるだろう。今年の年末年始時期の狙い目はスーパープレシード。
作りすぎたのとアテンダー待ちの人がスルーしたお陰で在庫がだぶついているので、号数限定とはなるだろうが、ショップは安く出してくると思う。このスーパープレシード、どの号数もよく出来た竿であるので、まだの人は是非手に取ってみてほしい。本命アテンダー、間の号数はプレシード。余裕のある人はそんな買い方をしてみてもいいかのではないか。
ウルトラASD(アクティブサスデザイン)
新機能とリニューアル素材について説明があるので転載する。
これは13年前のアテンダーⅡと同じ見直しポイントである。節と節が重なる部分のカーボン素材をアテンダーⅡよりもさらに見直し、それによりワンピース感が増したのだそうだ。
タフマトリックスシステム
素材その他は進化しているが、ここもアテンダーⅡと同じ見直しポイントである。当時の新素材である4軸カーボンをアテンダーⅡでは元竿に採用していた。ただし今回のリニューアル素材は前作と比べてわかりにくいので、もう少し説明を聞きたいところだ。
松田稔さんに竿を握らせるプロモーション動画
最後にこの竿を「開発」したメンツについてである。がまかつの公式動画などを見ると、鬼才こと松田稔さんの弟子らがテストを繰り返した(西森氏が動画でそのように示唆している)のだが
驚いたことに昨日リリースされたアテンダーⅢのプロモーション動画では、松田稔さんを全面に、あたかも松田稔さんが1人で開発したかのような雰囲気を醸し出しているのである。本当のところ、果たして松田さんはどこまで関与してるんだろうか。
プロモーション動画をみて松田さんの積極的な関与が確認できるのは、「デザイン」(見た目)だけである。要は開発というよりも、松田さんのオマージュとでも呼べばいいのではないか?
ここは議論が分かれるところだが、名釣会の弟子や久保野&猪熊さんだけでは、言葉は悪いがインパクトに薄く、そこはやはり松田さんを引っ張り出すというのが、20年に及ぶアテンダーの歴史の語り部として、そしてがま磯そのものの宣伝として、100点満点ということなのだろう。
松田稔さんのオマージュ作品!?
Ⅲの松田さんの解説を聞くと、恐れながら見た目以外に大して目新しさを感じなかった。それはⅡの時に言っておられたことがまるで瓜二つだったからだ。アテンダーⅢはもとより、いまだ13年前のアテンダーⅡの新作プロモーション動画がYouTubeに上がっているから、その動画の説明を聞いて比較するととても興味深い。もちろん磯竿に求められることは時代が経っても変わらない、とも言えるのだが。
Ⅱの動画ではあまり触れられてなかったデザインが、Ⅲでは説明がしっかり付されている。このデザインについて松田さんは、元竿のデカールを「若者向きに、宇宙のように」デザインを指示したのだという。
磯ジャンルも時代に合わせることが必要、というのはおっしゃる通り。自慢げに語られていたロッドのデザインは青みがかったデニオス的な感じが小生も良さげに思った。
23年がまかつはアパレルを復活
コロナの20年〜22年は世界的に物流が止まりチャイナメイドである釣りアパレル、ロッドケース、バッカンはほぼ新商品が出なかった。でても大したものがなかった。がまかつはアテンダーⅢを筆頭に、アパレルを大復活させると見られる。そこで、服のデザインについてである。
竿のデザインはいいとして、その一方で「着させられている」妙に若々しいアパレルには感心できず微妙に痛々しさを感じた。
よくいえば野暮ったさのない洗練されたような感じの仕上がりになっているが、松田稔さん×がまかつといったら世間のイメージはこれである
アテンダーⅡ発売の2011年ごろはこんな感じである。保守的でやぼったいというのはがまかつのイメージそのもので、なにも嫌味ではなくこうした装いがとてもお似合いかと思う。無理に老人にギラギラした服を着させる必要はないんだがなぁ。
2017〜19年ごろにおかしなデザインになりその後原点回帰したかと思ったがまた戻ったみたい。
尾長狙いは1.75号
本題にもどる。松田さんによれば、このロッドでの尾長狙いは「1.75号〜」とのことであるので、前作より軽く細く粘りを上げて強さを高めたロッドであるということになる。アテンダーⅡでは2号を推奨していたので、必要な号数がさらに下がったということになるのだろう。
アテンダーⅢはアテンダーⅡとの比較で持ち重りをかなり解消したという。先が細い設計としたのはスーパープレシードで実証済み。スーパープレシードは先細で胴調子にも関わらず、操作性が高いのである。その実験結果をアテンダーⅢに入れたのだ。
どれだけ売れるだろうか?
アテンダーⅡ発売の2011年当時と比べてがまかつファンであるシニア保守層の数が減ってるのでⅡのような爆発はないだろうが、それでもコロナ後の外出自粛明けのリベンジ消費に火をつけるかの如く爆売れは確実である。
この動画を観ていただければ分かるが、アテンダーⅢは、がまかつの社運を掛けた一大商品、老体鞭打ち松田稔さんまで総動員したプロモーション効果もあり、今年の釣具屋の磯釣りコーナーの完全なる主役となるだろう。
今回の一連のプロモーションを観ていると、なにやら元竿のデザインテーマである「宇宙」のごとく、松田稔さんが宇宙から現れたような気がした。松田さん、末長くお元気で。(おわり)